2015年御翼12月号その4(2)

困難を祈りによって突破するために

  

 ある実業家が、問題に直面し、夜も眠れない状態だった。部屋の中をうろついていると、母親の写真が目にとまり、母の言葉を思い出す。家族が困難に直面すると母親いつもこう言っていた。「問題のことではなく、神様のことだけを考えましょう」と。そこで彼は、「今しばらくは、問題から目を離そう」と言って、机の上の書類全て引き出しにしまった。そして別の引き出しから聖書を取りだし、椅子に深く腰かけ、詩編から読み始めた。彼はそのまま三十分も聖書を読み続けた。自分がよく知っている聖句へとページをめくり、偉大な御言葉を声に出して読んだ。そして、聖書を閉じ、静かに神のことを思った。神の善とその素晴らしさ、摂理、偉大な愛について。最後に感謝の祈りを捧げた。彼は平安を取り戻し、仕事に戻った。すると、ある人物に会おうという思いになる。それは今直面している問題とは全く関わりがない人だった。しかし祈った直後の思いだったので、出かけた。彼と会うと、何気ない会話の中からある発想が生まれ、問題が解決へと導かれた。それ以来、彼は大きな問題に直面すると、いつも神に集中できるまで、問題には目をやらないようにした。十分神に心を向けられるようになってから問題に向かうと、平安のうちに洞察力が与えられ、解決に導いて頂けるのだ。
 この牛込でも似たようなことは起こっている。二十五年前、資金もないのにこの場所に教会堂を建てようという発想が私に与えられた。老人ホームなどの施設を造ろうかといろいろ発想したが、祈りの中で、何よりも福音を直接宣教する教会を建てるという思いになった。次は融資先だ。今度は父が祈っていた。教会は建つことには確信があった。しかし、具体的には誰のところに行ったら融資の道が開けるのですか、と祈り、引き出しを開けると、クリスチャンの不動産仲介業者からの封筒がポンと飛び出してきた。祈り終えた直後のことだったので、とにかくお会いしたところ、会堂建築のための二億円を融資してくれる銀行を紹介してくださった。
 もうだめだ、と思えるような状況の時こそ、確かな希望をもって祈ろう。そして、神から最善の解決の道を与えられ、苦難に打ち勝つ者として頂こう。

 困難を祈りによって突破するために Norman Vincent Peale, The Tough-Minded Optimist より

  1. 思考が問題に占有されないよう緊張を解き、神だけに焦点をあてる。その後、問題に立ち向かうと、洞察力は研ぎ澄まされ、思考力も高まっている。
  2. 静かな祈りの時を毎日持ち、神の指示に耳を傾ける。自分の思いよりも、神の御声を聞くように。
  3. どんな仕事にも神を迎え入れる。
  4. どんな問題をも、霊的な目で見る。(この世的な目、自己中心な目では見ない。)
  5. 祈りの課題をカードに書いて、聖書に挟んでおく(神にお委ねして心配しないことの象徴として)。課題は出来るだけ簡潔に書くこと。簡潔に書けなければ、 問題が整理されていない証拠である。自分で問題を整理した時、明瞭な答えが与えられる。祈りが答えられたら、感謝をもってカードをファイルする。
  6. 何をどのようにすべきかを、祈りの中で主に尋ねる。そして、神に信頼しながら、与えられた思いを実行する。
  7. 神が魂に働き掛けられるように、魂の「接点」をきれいにしておく(へりくだる、自己中心にならない、疑わない)。

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